2006年08月31日

クーベリックのブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」

kubelikbru4.jpg僕は、ブルックナーの交響曲の中でこの4番だけは好き!と言い張れない。冒頭のホルンの素晴らしいソロ以降、それを引き継いでもっと大きな感動があるのかと思うと、意外とそうでもない。
だからCDも必要以外(意味不明)は、持っていない。いや結構持ってます。
そんな中で、良いと思うのがこのクーベリックの録音。チェコの指揮者でブルックナーを取り上げる指揮者はそう多くもない。ノイマンもゲヴァントハウスと1番の録音を残しただけ。でもそのゲヴァントハウスの前任者:コンヴィチュニーはモラヴィア生まれながら、ブルックナーを得意としてた。
クーベリックはと言えば、ブルックナーを日本でも8番を取り上げるなど、得意としていたと言っても良いと思う。噂によるとクーベリックはバイエルン放送響とブルックナー全集を録音する計画もあったそうな。
このクーベリックの演奏は、厳しさよりも、オーケストラの個性もあるだろうけど、大らかで楽天的である。大げさに書いてある譜面を誇張することなく、誠実に丁寧に演奏する。だから決して豪華に鳴り響くことはない。しかし決して禁欲的ではないので、実に人間的な響きなのだ。だからどこまでもホンワカしているのだ。でもこれは決してダレているということではない。このコンビの蜜月を物語るように、引き締まったアンサンブルと、クーベリックの解釈の説得力は見事という以外ほかはない。南ドイツの明るい金管の響きも大変素晴らしい。もちろん最も重要な冒頭のホルンソロは、惚れ惚れするほどに素晴らしい。

ブルックナーというと、「神」「宇宙」というテーマばかり先行するけど、僕は決してそればかりではないと思う。それよりもずっと人間的で暖かい音楽だと思う。
そんな訳で、このクーベリックの暖かいブルックナーはたまに聞きたくなる愛すべき録音だ。
注文を付けるとしたら、LPにカップリングされていたワーグナー「ジークフリート牧歌」が、これがいつだかの特典盤以来発売されていないこと。だからこれのために中古でLP探して買ってしまったでないかい・・・・

お勧め度:★★★★

指揮:ラファエル・クーベリック
バイエルン放送交響楽団
1979.11.18−21 ヘラクレスザール
SonyMusic<SICC262>
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2006年08月30日

マーツァルのチャイコフスキー交響曲第5番

macaltcha5.jpgマーツァルのチャイ5は、チクルス第4弾の録音。
録音から帰ってきたオクタヴィアの某女史が「今回のチャイ5は凄い!」と連発していたから、「サンプル欲しいなぁ・・・」と独り言。ちゃっかり発売前に頂きました。ありがとうございます。
このチャイ5は本当に凄い。このコンビのシリーズの中でも白眉の出来だ。数年前のコバケンとの録音を上回る出来栄えだと思う。
マーツァルの自然体の解釈は変わらないのだけど、実はちょっと面白いと思うのが、弦楽器と木管そしてホルンの響きを中心に鳴らしているのだ。トランペットが若干弱く感じることがあるけど、それはそういう鳴らし方なのでは?と思わせる説得力。するとロシアのチャイコフスキーではなく、チェコのチャイコフスキーになる。ドスの効いたドギツさが影を潜め、ちょっと可憐なチャイコフスキーが登場すると。
でも勘違いしてはいけない。ちゃんとラッパやトロンボーンは必要なところでは、マーラーかと思わせるほどにちゃんと咆哮してくれるからご安心を。だからどこまでもチェコ風なんだけど、これが以外とマッチするのだ。

この演奏を聞いていて特に驚くのが、チェコフィルの弦楽器のアンサンブルの優秀さ。細かいパッセージまで完璧に聞こえる。これはフィナーレになっても崩れる事は無い。。4楽章の最後で、トランペットが旋律を力強く鳴らしている裏で、弦楽器が物凄い勢いで弾きまくっているのだ。ロシアのオケだとこういうところは、金管があまりにも激しく吹きまくるので実演だと奏者の動きで「すげ〜!」と思うけど、こうして録音で聞こえるのはまた「すげ〜!」と。それもチェコスタイルで歌いまくるのだから、こいつらは手に負えない。そして平伏す「ごめんなさい」。やっぱチェコフィルってすげえなぁ・・・・

僕はこのチャイ5、マーツァル&チェコフィルのベスト録音だと思っている。

お勧め度:★★★★★

チャイコフスキー 交響曲第5番
ホルン・ソロ:オンドジェイ・ブラベッツ
指揮ズデニェク・マーツァル
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
録音:2005年10月12-14日 ドヴォルザーク・ホール
EXTON<OVCL-00227>
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2006年08月27日

オルガン名曲集

bartaorgan.jpgアレシュ・バールタのオルガン名曲集。バールタは、ブルノ生まれのオルガン奏者。記憶に新しいところでは、2004年のチェコフィル来日公演に同行し、東京オペラシティでヤナーチェク「グラゴルミサ」のオルガンソロを弾き名演に華を添えた。終演後も、オーケストラメンバーのバールタが素晴らしかった!と口々に話していた。
また2005年冬にも来日し、東京カテドラルでハリーシュとのリサイタルで素晴らしい演奏を聞かせてくれた。

バールタは、チェコのオーケストラでオルガン付きの作品を演奏する際には、欠かすことの出来ない奏者である。私もプラハ放送響で現代曲のオルガン協奏曲を聞いたことがある。また、ケイマルらのソロの伴奏としても数多くの録音に参加している。
このCDは、オルガンの美味しい曲ばかりを集めたもので、ドヴォルジャークホール一杯に響き渡るこの音を存分に堪能できる。
有名なトッカータとフーガから、メシアンに至るまで幅広いレパートリーで楽しませてくれる。

・お勧め度:★★★★

J.S.バッハ
 コラール前奏曲 「わが心の切なる願い」 作品122-10
 コラール「主よ人の望みの喜びよ」 BWV 147
 コラール「目覚めよ、と呼ぶ声あり」 BWV 645
ブラームス
 コラール前奏曲 「わが心の切なる願い」 作品122-10
 プレリュードとフーガ ト短調
リスト
 バッハの名による前奏曲とフーガ
フランク
 前奏曲・フーガと変奏曲 作品18
ボエルマン
 トッカータ 作品25-4 (「ゴシック風組曲」より)
メシアン
 神はわれらのうちに (「主の降誕」 1935 より)
アレシュ・バールタ (オルガン)
2001.6.1 ドヴォルジャークホール
EXTON<OVCL-00056>
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クーベリックの新世界「DVD」

kubelikdvo9dvd.jpg先に紹介したクーベリックの「ドイツ・レクイエム」と同時期の1977年収録のライブ映像。クーベリック渾身の指揮振りが映像で楽しめる。
クーベリックの新世界は多く録音している。
シカゴ響、ウィーンフィル、ベルリンフィル、バイエルン放送響、チェコフィルと・・・まだあるかな?どれもクーベリックの芸術を堪能するのに、不足は無い。晩年のチェコフィルと再会した「新世界」も素敵な演奏である。
しかしこのバイエルン放送響との映像も素晴らしい。力強い推進力とほとばしる情熱が魅力的だ。ライブで燃え上がるクーベリックが、これほど熱かったか!と映像を通して、肌で感じることができるのだ。
まだまだ国際化していないバイエルン放送響は、いかにもドイツのオケという音が楽しめるのも魅力だ。そしてトランペットが、ピストンのB管で吹いているのがちょっと面白い。ドイツのオケって、ロータリーではないの?
そういえば、2002年だかにミュンヘンフィルをガスタイクで聞いたとき、1番ラッパはピストンB管で吹いてたなぁ(ツァラとプロコ5番でミスは1箇所)

お勧め度:★★★★

バイエルン放送交響楽団
指揮:ラファエル・クーベリック
1977年12月 ヘラクレス・ザール(ライブ)
DREAMLIFE<DLVC−1030>
posted by ズィコフ at 17:56| Comment(0) | TrackBack(1) | ラファエル・クーベリック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ヴァンハルのヘンデル

warchalhandel.jpgナクソス初期の録音で、スロヴァキアの巨匠ボフダン・ヴァンハル指揮カペラ・イストロポリターナの演奏。ヘンデル「王宮の花火」「水上の音楽」が収められている。このコンビは、1980年に「水上の音楽」をケイマル、ティルシャルと録音しているが、そちらはまた別の機会に紹介したい。

カペラ・イストロポリターナ(スロヴァキア室内管)は、スロヴァキアフィルのメンバーのより室内オーケストラである。何気に録音が多く、ケイマル、ティルシャルらチェコフィルメンバーとの競演も多い。
ヴァンハルは日本ではほぼ無名だろうけど、スロヴァキアフィルのコンサートマスターを務め、この室内オーケストラを結成。特に強烈個性があるわけではないが、実に素朴で真面目な音楽を聞かせてくれる。

このヘンデルは、彼らの美質を存分に味わえる。華やかさは皆無で、素朴なヘンデルの美しさを堪能させてくれる。どうもこれらの曲は、かの有名なハーティー版に代表されるような、豪華なイメージがある。「王宮の花火」は、オリジナルの古楽の管楽器大編成録音も最近は多い。
その手の録音と比較するとどうしても素朴(くすんでいる?)で、人によっては「ふ〜ん」で済まされるだろう。でもこの素朴さこそ、ヘンデルの姿ではないのかと思わせるものがある。もちろん豪華な演奏も素敵なんだけどね。
僕も繰り返し何度も聞く録音ではないけど、たまに取り出して静かに聞きたくなる演奏だ。

お勧め度:★★★

ヘンデル:王宮の花火の音楽
     水上の音楽
カペラ・イストロポリターナ
指揮:ボフダン・ヴァンハル
NAXOS<8.550109>
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2006年08月26日

クーベリック渾身のドイツ・レクイエム

kubelikdeutsches.jpgラファエル・クーベリックは、チェコが生んだ最高の音楽家の1人だ。偉大なヴァイオリニストを父に持つラファエルは、指揮者として世界の頂点を極めた。
クーベリックのドイツ・レクイエムは、指揮活動の絶頂期1978年のライブ録音である。スタジオ録音では、冷静なクーベリックもライブでは別人のように燃え上がった。このドイツ・レクイエムは、なかだも個人的に非常に気に入っている演奏だ。極上のコーラスとオーケストラが一体となった演奏は、これ以上の録音は他にないものだと思う。個人的に、これがドイツ・レクイエム最高の名演だと思う。
とにかく有無を言わずに聞いて欲しい壮絶な名演だ。

お勧め度:★★★★★

指揮:ラファエル・クーベリック
バイエルン放送交響楽団
バイエルン放送合唱団
ソプラノ:エディット・マティス
オルガン:ウォルフガング・ブレンデル
1978.9.29 ヘラクレスザール
Audite<95.492>
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ケイマルのテレマン

kejmartelemann.jpgこれは2005年チェコフィル来日公演の時に、ケイマルからもらったCDである。いつもマニアックな物を見つけては、サインして!という俺にくれたマニアックなものだ。何がかというと、テレマンのトランペットとバイオリンの協奏曲という非常に珍しい曲が収録されているのだ。かつてケイマルは、ノイマン指揮チェコフィルとシュクヴォールのバイオリンでこの曲を録音していた。
今回は、先生をしているというヤロスラフ・スヴェチェニーのバイオリン。でもこのCDはこのバイオリンがメイン。バッハ、ヴィヴァルディ、クライスラー、タルティーニのヴァイオリン協奏曲の最後に収録されたのがテレマン。
ここでのケイマルは、お得意のピッコロトランペットで華麗で軽やかに吹いている。この録音時で64歳とは思えない、吹きっぷりだ。さすがはミレク。
この曲、なかなか録音はないけど、僕はすごく好きなんだけどね。テレマンらしく本当に良い曲ですよ。オットー・ザウターが録音しているので、こちらは手に入りやすいので、お勧め。

さてさて肝心なバイオリンは、物凄い上手とは言えないけど、実にチェコらしい美しい音色だ。

お勧め度:★★★★★(テレマンだけ)

J.S.バッハ
 2台のバイオリン協奏曲 BWV1043
ヴィヴァルディ
 バイオリン協奏曲 op.3-9
クライスラー
 バイオリン協奏曲
タルティーニ
 バイオリン協奏曲
テレマン
 バイオリンとトランペットの協奏曲
バイオリン:ヤロスラフ・スヴェチェニー、ダナ・ヴラホヴァ
トランペット:ミロスラフ・ケイマル
ヴィルトゥオージ・プラハ
2005.8.30〜9.1 ドモヴィア・スタジオ
SUBITON<SUB 0021-2>
posted by ズィコフ at 15:15| Comment(0) | TrackBack(1) | ミロスラフ・ケイマル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

チェコのクリスマス

kejmarchistmass.jpgボニ・プエリというチェコの少年合唱団によりクリスマス曲集。
ブリテンのセレモニー・キャロルに続いて、おなじみのクリスマスキャロルが続く。このクリスマスキャロルが曲者(いやなんというか)なのだ。いきなりケイマルのフリューゲルホルンソロから始まるという美味しさ(反則ともいう)。こういうアレンジだから引き受けたのか、それとも意図的にこうアレンジしたのか?合唱が主体なのか、ケイマルが主体なのか判らなくなる。でも良い、これが素敵過ぎるから。本当にこのケイマルおじさんは、こういう曲を吹かせたら、世界最高の吹きっぷりを聞かせてくれるのだ。
ある時、ケイマルにこんなの「持ってま〜す。サインして」と出したら「マニアック!」と一蹴された(笑)

でもこのCDのメインは、あくまでもブリテンかもね。ブリテンも実に美しい響きを聞かせてくれる。4声とハープにアレンジされたとあるけど、オリジナルはどうなのだろう?ブリテンはこの手の合唱曲は、大量に作曲しているからなぁ・・・ブリテンは20世紀最高の作曲家の1人だと思うけど「青少年」くらいしか知られていないのが、もったいない。オペラやコーラスには美しい曲が多く、ホルン吹きとしては、デニス・ブレインと生涯の伴侶ピーター・ピアーズのために書かれたセレナーデは忘れてはいけない。

こんな珍しいCDがどこで手に入るのかという質問には答えたくないけど、MusicaBonaというチェコの通販サイトで購入できます。

お勧め度:★★★★★

Benjamin Britten
A Ceremony of Carols Op.28

Old European Christmas Carols
Adeste fideles
Dormi,dormi bel Bambin
Ding,Dong! Merrily on High
Es ist ein Ros'entsprungen
Stille Nacht
etc.
フリューゲルホルン:ミロスラフ・ケイマル
ボニ・ブエリ
ムジカ・ボヘミカ・プラハ
2004.8.27〜29 ドモヴィナ・スタジオ
ARCO DIVA<UP 0070-2 231>
posted by ズィコフ at 14:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ミロスラフ・ケイマル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マーラー交響曲第6番「悲劇的」

macalmahler6.jpg今年5月に収録されたチェコフィル最新録音。
管理人が3年ぶりにプラハを訪問するのは、この演奏会と録音を聞くためであった。
詳しい事は、ホームページにかいたのだけど、こちらは出来上がった録音の印象を書きたい。
このオーケストラは、誰がどう振ってもチェコフィルであることが改めて思い知らされる。かつてノイマンが2度素晴らしい録音を残し、その後アシュケナージも氏らしからぬ危機迫る壮絶な名演を残したこの曲。
指揮者の個性は違うのだが、出てくる音がどこから聞いてもマーラーでしかない。

さて、マーツァルの解釈は基本的には伝統的なチェコフィルのスタイルである。「悲劇」を強調する事無く、自然体な音楽作りを目指しているように思える。そして細部を決しておろそかにすることはない。どこをとっても「意味」のある音が鳴り響く。金管はいつもながら咆哮するが、決して汚くなく豊かな響きを作り出す。そして弦楽器の充実した響き。まさしく今のチェコフィルを象徴するよう音だと思う。
圧巻は3〜4楽章。3楽章の美しさは格別だ。弦楽器の響きの中で、木管の美しいソロが冴え渡る。そして4楽章は、圧倒するパワー。テンポの流れも良く、自然体でありながら、迫り来る「悲劇」は圧倒的である。マーラー、ここまで華麗に鳴り響くこの作品を聞いたらどう思うのだろうか?
このコンビは本当に素晴らしい境地に来ていると思う。

今回の布陣は、フルートはピヴォダ、オーボエはセクアルト、クラリネットはコパーチェク、ファゴットはヘルマン、ホルンはヴォヴォジル、トランペットはハリーシュ、トロンボーンはコザーネク、テューバはマリマーネク、ティンパニーはマザーチェクである。
ケイマルは5番トランペットで存在感を示し、また6番トランペットには次期首席との呼び声高いマレク・ヴァイオが座りこれまた若々しい素直な音で存在感を存分にアピールしていた。
不満を言うとすれば、ホルンがブラベッツではなかったこと。もちろんヴォヴォジルも美しいのだけど、ブラベッツだったらより、アンサンブルに締りを与えてくれたと思う。ブラベッツも入団当初は、う〜んと思っていたけど、最近はホルンセクション、そしてオーケストラをリードする奏者と成長してくれた事を嬉しく思う。

お勧め度:★★★★
チェコフィルハーモニー管弦楽団
指揮:ズデネェク・マーツァル
2006.5.4&5 ドヴォルジャークホール
EXTON<OVCL-00245>
posted by ズィコフ at 13:23| Comment(2) | TrackBack(0) | マーラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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